何度でも、君に永遠の誓いを〜若きカリスマ帝王の真愛〜
暁さんは、手から資料を離すと、用意された朝食を食べ始める。

テーブルの置かれた資料を覗くと、グランド・ドールの売り上げが記録されていた。

宿泊数が、減少している……?

私のグラフの見方が正しければ、そういうことになる。

あのホテルは、べリが丘の中にある高級ホテルの中でも、一、二を争う人気のホテルだ。

減少しているなんて、やっぱり、水島商事の仕事が大変なんだ……

水島商事は、ショッピングモールなどの商業施設の建設、電気、保険、メディア、通信など、業態が非常に幅広い。それだけじゃなく、貿易業務も行い、日本と海外を繋げる、パイプ役を担っている。今や暁さんは、日本の経済を揺るがせる、大きな存在となっているのだ。

私も、一応は水島商事の人間だし、何かできることはないかな、何か……

「あっ」

そういえば……

「どうかしたか?」

「あの、貸金庫を開けてもいいですか」

「貸金庫? ああ、もちろん、君のものだ」

それから……

「本田さん、おじいちゃんが持っていた美術品や、骨董品を見ること出来ますか?」

「ええ、管理者の方にお電話してみます」

「お願いします」

「どうしたんだ、いきなり」

「私にも、出来ることがあるかもしれません」

少しでも、この人の役に立ちたい。

私は携帯電話を手に取ると、電話をかけた。

「樹里愛です。あの、お願いがあって。今日、お時間ありますか? 香坂さん」
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