何度でも、君に永遠の誓いを〜若きカリスマ帝王の真愛〜
第三章

愛の定義

樹里愛side

私の夫である不動暁さんは、カリスマ帝王と呼ばれるほど、リッチでゴージャスな男性。不動グループの御曹司で、私のおじいちゃんが会長を務めていた、水島商事の社長。家に帰ってくれば、無意識のうちにため息をついてしまうほど、お疲れの様子。そんな多忙な暁さんが難しい表情をするのは、いつものこと。いつものことだけど、今日は、朝からより一層、難しい顔をしていた。
本田さんが淹れてくれたコーヒーにも口をつけずにいるなんて、よっぽど何かを考えている証拠だ。

私はクロワッサンを口に放り込むと、暁さんの手元にある資料を凝視した。

何を見ているんだろう。

すると、スッと横から手が伸びてくる。

「奥様、髪がスープに入りそうです」

「あっ」

そういえば、最近、髪が伸びた。結婚式のために少し伸ばそうと思って、そのままにして切ってなかった。

「後ろで編みましょうか」

本田さんは髪ゴムで器用に私の髪を編んでいく。

「上手ですね」

「娘の髪を良くやっていますから」

「本田さん、娘さんいらっしゃるんですか？」

「はい、今年で五歳になります」

本田さんの携帯画面には、本田さんによく似た可愛らしい女の子が写っていた。

「いいな。私も妹か弟がほしかったです」

「ご兄弟はいらっしゃらないのですか？」

「私は一人っ子です。こんな可愛らしい妹がいたら、甘やかしてしまいそうです」

「坊ちゃんも一人っ子ですから、お二人は一人っ子同士、何か通ずるものがありそうですね」

本田さんが暁さんに話をふるも、暁さんはこちらの話に気づかないで、資料を見ている。

「坊ちゃん！」

少し怒った様子の本田さんの声で、暁さんがやっと資料から顔を上げた。

「ん？」

「もう、朝食の時くらい仕事はおやめ下さい。せっかく淹れたコーヒーが、冷めてしまっているじゃないですか」

本田さんは文句を言いながら、カップを持ちキッチンへ。
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