【コミカライズ原作】Re:活 前略旦那様 私今から不倫します
「泉さんと辻村さんが不倫してるんじゃないかって、パートさんに聞かれましたよ」
「ご忠告ありがとう」
どこにでも噂好きな人間はいる。嘘だろうが本当だろうが、本人たちが面白ければいいのだろう。
沙羅が夫の不貞に苦しんでいると知り、歯止めが効かなくなっている部分は確かにある。
沙羅が両親の離婚で傷ついた過去を聞いていたからこそ、許せない気持ちがある。
あまり感情的になるタイプではないが、深く傷ついているのはわかった。
身持ちの固い真面目な人間ほど裏切られた傷は深いものだ。まして信頼して人生を共にしようと誓った相手ならなおさら。
自分なら沙羅を苦しませたりはしないのに。結婚という制度は人の幸せを保証するものではない。やるせない気持ちになる。
「ま、私は業務に差支えなければ構いません。せっかくお店が盛り上がってきたところですし」
「君の尽力には感謝してるよ」
「はい」
高梨が出ていったあと、さきほど店に届いた一通の手紙を引き出しから取り出した。
宛名は、ペタルアトリエだが、中身は沙羅宛てだった。どうやら沙羅の夫の不倫相手の婚約者から来たものらしい。
隠したところで、いずれ沙羅の知るところになるだろうが、これを見せるのは辛い。
内容は不倫の告発だった。最初に他のスタッフが空けなかったのは幸運だった。
──どいつもこいつも、ろくでもない。
婚約者を寝取られたからといって、妻の職場にまで送るとは相当頭に血がのぼっているのだろう。自分の不始末で沙羅に迷惑をかけている夫のほうも許せない。
身勝手な人間たちに囲まれてその中心で傷ついていく沙羅が、かわいそうだった。
同情と愛情と、過去の恋情が入り混じり、病院へ連れて行った帰り道、気づけば抱きしめキスをした。一時の気の迷いなどではない。
学生時代に事故に遭い、奇跡的に回復したあと、沙羅が結婚すると人づてに聞き、自分とは縁がなかったのだと自分に言い聞かせ、幸せを密かに祈った。