【コミカライズ原作】Re:活 前略旦那様 私今から不倫します
☆旅立ちと決意
カトマンズ空港に降り立った瞬間、遠くにあるヒマラヤ山脈の壮大な眺めに心を奪われた。
『まず自分が何者でもないって認めるために、旅に出るんだ』
今の沙羅には家族もいない。
学生時代の辻村の言葉を思い出している。何者でもないというのは、自由で孤独なことなのかもしれなかった。
リュックサックと小さなスーツケースひとつ持って、騒々しくて活気がある街に向かって歩き出す。けたたましい車のクラクションの音。スパイスやお香の香り。ストリートを飾る色とりどりの旗、そして壁画。
全てが鮮烈で、そのまぶしさに目を細めた。
──私が今まで悩んでたことって実は小さいのかも。
突発的に日本を飛び出し、この未知の世界に圧倒され、同時に胸を躍らせている。
にぎやかな街並みを歩く足取りが少しずつ軽くなっていく。
美味しそうなスパイスの香りにつられて、小さな地元の食堂に入る。シンプルな内装で壁には色々な写真が飾られていた。
ネパール語のメニューが読めなくて、適当に注文すると豆のスープと野菜のカレーが運ばれてきた。しっかりスパイスの効いたカレーは、頭をスッキリさせてくれる。
異国の地の日常は、落ち込んで弱り切った心に活気を与えてくれた。