シュクルリーより甘い溺愛宣言 ~その身に愛の結晶を宿したパティシエールは財閥御曹司の盲愛から逃れられない~
「な、ならぜひ!」

 前のめりになって言うと、慧悟さんはわずかに肩をすぼませる。
 笑顔のままなのに、その視線は私ではないどこか別の場所を見ている。

「もう、別の方にお願いしていたりしますか……ね」

 言いながら気が付いたけれど、当たり前のことだ。
 私はこの日まで、ベリが丘に戻ってきたことを彼に黙っていたのだから。

「あ、いいんです! じゃあ、お祝いに何か別の――」

「そうじゃないの! 結婚式のことは、まだあまり決まってなくて――」

 言いかけた私を彩寧さんは遮って、けれど語尾を濁してしまう。
 一度慧悟さんの方を振り向いた彼女は、すぐにこちらに優しい笑みを浮かべた。

「希幸ちゃんのウェディングケーキがあるなら、きっと素敵な式が挙げられるわね」

 ふわりと微笑む、優しき令嬢。
 その笑顔の美しさに、私の胸は悲鳴をあげる。

「はい」

 胸の内をひた隠すように笑顔を返した。
 けれど、心の中には二人がケーキ入刀をする姿が浮かび、泣きそうな気持ちになってしまった。
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