シュクルリーより甘い溺愛宣言 ~その身に愛の結晶を宿したパティシエールは財閥御曹司の盲愛から逃れられない~
はっと目を見開き、オーナーの顔を見る。
彼は柔らかく笑いながら、大きな葉のついた苗に土をかぶせていた。
「はい。でも、自分のやるべきことは、昨日料理長と話して再確認できました」
「そうか、私は一歩遅かったね」
オーナーは笑いながら、植え付けの終わった苗の葉を愛でるように撫でた。
「私は料理はできないからね。オーベルジュのオーナーなのに、料理に関してはこのくらいしかできない」
その横顔は、何かを憂いているような表情で。
思わず「え?」と漏らすと、オーナーはすぐに私に笑みを向けた。
「このオーベルジュのシェフとして、素敵なデセールを生み出せる前埜さんは素晴らしいよ。だから、何も気負うことはない」
「そんなこと――」
「ないです」という言葉は、オーナーの言葉に上書きされてしまった。
「私はね、前埜さんのドルチェに愛を感じたんだ」
「愛、ですか……?」
「そう、愛。前埜さんのドルチェは華やかで繊細なだけじゃない。相手の心を掴む仕掛けをいつもしているでしょ?」
オーナーは話しながら、次の苗を手に取る。
少し横に移動して、苗を植え付けながら続けた。
「メイン料理との組み合わせ。お客様の好み。デセール部門のシェフなのだから、もっと自分を出してもいい。なのにそうしないのは、きっと前埜さんの他者に対する愛なんだろうと、私は思うんだ」
彼は柔らかく笑いながら、大きな葉のついた苗に土をかぶせていた。
「はい。でも、自分のやるべきことは、昨日料理長と話して再確認できました」
「そうか、私は一歩遅かったね」
オーナーは笑いながら、植え付けの終わった苗の葉を愛でるように撫でた。
「私は料理はできないからね。オーベルジュのオーナーなのに、料理に関してはこのくらいしかできない」
その横顔は、何かを憂いているような表情で。
思わず「え?」と漏らすと、オーナーはすぐに私に笑みを向けた。
「このオーベルジュのシェフとして、素敵なデセールを生み出せる前埜さんは素晴らしいよ。だから、何も気負うことはない」
「そんなこと――」
「ないです」という言葉は、オーナーの言葉に上書きされてしまった。
「私はね、前埜さんのドルチェに愛を感じたんだ」
「愛、ですか……?」
「そう、愛。前埜さんのドルチェは華やかで繊細なだけじゃない。相手の心を掴む仕掛けをいつもしているでしょ?」
オーナーは話しながら、次の苗を手に取る。
少し横に移動して、苗を植え付けながら続けた。
「メイン料理との組み合わせ。お客様の好み。デセール部門のシェフなのだから、もっと自分を出してもいい。なのにそうしないのは、きっと前埜さんの他者に対する愛なんだろうと、私は思うんだ」