強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
1・強面騎士団長、最愛の妻から離婚を切り出される





 ──コンコン。

 俺が書斎で不在中に届いた手紙や報告書の確認をしていると、小さく扉が叩かれた。

「ラインフェルド様、フェリシアでございます。お話がございまして、少々お時間よろしいでしょうか」

 扉越しに、鈴を鳴らしたような可愛らしい声が響く。
 耳にした瞬間、十日間に渡る魔獣討伐の遠征で疲弊した心がふわりと綻び、疲れが一気に吹き飛んでいく。

「入ってくれ」

 ゆっくり扉が開き、ひょっこりと姿を現したのは、俺の掌中の珠。
 聖女の特徴である月光を紡いだような銀髪とエメラルドの瞳を持つ妖精もかくやという可憐な妻、フェリシアだ。

「失礼します」

 フェリシアは足もとでドレープを描いてふわりと広がるシフォン地のドレスを翻し、腰まである艶やかな銀髪を揺らしながら俺のいる窓辺の執務机までやって来る。



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