強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
「あなたは私にとって掛け替えのない大切な方です。誰よりも愛しているからこそ、あなたの幸せを阻む枷にはなりたくないと──」
「フェリシア、もう十分だ」

 熱い囁きが耳朶を掠め、気づいた時には息をするのも苦しいくらいの力で逞しい胸の中にグッと掻き抱かれていた。

「君の気持は十分に伝わった。やり直すチャンスもなにもない。そもそも俺は君しかいらないのだから」
「っ!」

 胸に歓喜が巡る。愛おしさが熱い迸りとなって、眦からこぼれ落ちた。

「改めて確認しよう。俺たちは離婚せず、これからも夫婦として暮らしていく。これでいいか?」
「もちろんです!」

 一も二もなく頷いた。

「俺の妻は永遠に君ひとりだ。……だが、覚悟しておいてくれ。俺はもう、容赦はしない」
「え?」

 彼の懐にきつく抱かれたまま、目線だけを上げる。間近にぶつかったブルーの瞳に、燃え滾る炎みたいな激情を見た気がした。

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