強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
2・聖女の秘密と強面騎士団長との結婚の経緯





 書斎を出て、扉が閉まった瞬間、特大のため息が漏れた。
 彼の為を思えばこそ、なけなしの勇気で離婚を切り出した。しかし、彼の答えは『時間がほしい』という、いわゆる保留。すんなり私の希望通りとはならなかった。

 ……真面目な人だから、王命による結婚の解消に踏み切れないのかもしれない。あるいは責任感から、若い私を出戻りにしてしまうことを気にしている可能性もある。
 本当に不器用で、この上なく誠実な人……だからこそ私はなんとしたってこの政略結婚から彼を解放し、〝ヒロイン〟と幸せになって欲しいと願うのだ。

 廊下の途中でなんとなく足を止め、天地に広がる窓の外に視線を向ける。そこには私の鬱々とした気分とは対照的な、雲ひとつない青空が広がっていた。

「あーあ、神様は意地悪だぁ。どうせなら私をヒロインにしてくれたらよかったのに」

< 9 / 106 >

この作品をシェア

pagetop