年上幼馴染の一途な執着愛
そして、日向が席に戻り新婦の友人代表のスピーチになった時。


「ただいまご紹介にあずかりました、新婦の友人の横山 和歌と申します」


その名前を聞いた瞬間に、消え掛かっていた胸のモヤモヤがまた現れてしまった。
控室で美春さんが言っていた名前だ。

じゃあ、この人が。

バーガンディのワンピースが上品で、切れ長の目がとても綺麗なアジアンビューティーの女性。
落ち着いた声色と優しい笑顔が本当に綺麗な人だ。
スピーチを聞くと同じ中学と高校に通っていた友人のよう。
つまり、お兄ちゃんとも日向とも同じ高校だったというわけだ。
美春さんがわざわざ謝るくらいだ。日向と何かあったのだろうか。
そういえばさっきのムービーで、高校時代の写真にはお兄ちゃんと美春さん、それから日向ともう一人知らない女の子が四人で写っているものが多かった。

もしかしたら、あの女の子が和歌さんだったんじゃ……?

ちらりと日向の方を見てみると、真顔で和歌さんを真っ直ぐに見つめていて何を考えているのかはわからない。
胸のモヤがどんどん広がっていくような気がして、私は慌ててテーブルに置いてあったお酒を飲む。
一度深呼吸をして、もう一度和歌さんに視線を向ける。
だけど、やはり落ち着くことはできずにスピーチの内容は全然頭に入ってこなかった。
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