年上幼馴染の一途な執着愛
そして無事に披露宴が終わると、私は一人、タクシーで実家に戻ることにした。


「お母さん、ごめん。ちょっとお酒飲みすぎたみたい」

「あら、大丈夫?お父さんもお母さんもまだ帰れないんだけど……」

「大丈夫。ちょっと休んだらよくなると思うから。タクシーで先帰ってるね」

「わかったわ。気を付けてね」


そんなやりとりをしたのが十五分ほど前。
日向は私を探していたようだけど、どうやら二次会のために友人に捕まったらしくいつのまにか姿を消していた。
その間に私はタクシーに乗り込み、実家の住所を伝える。


「ふぅ……」


着慣れない振袖のせいか、気分が沈んでいるせいか。肩が凝ってしまって首を数回回す。
ため息をついて車窓から外を眺めると、夕焼けを過ぎた空は暗くなり始めていた。
流れゆく雲を見つめていると、スマホが震えて視線を下げる。
画面を見ると、日向からのメッセージだった。


"夕姫、今どこにいる?"


それを見て、少し悩んでから


"先帰ってる。二次会楽しんで"


と返事をした。
すぐに既読が付いたかと思うと、間を置かずに電話がかかってくる。
手の中で何度も震えるスマホ。
だけと今はタクシーの中だし、今電話に出たら感情を抑えられなくなりそうで。
そのまま出ずに画面を見つめていると、一度切れて再び震え出す。


「お客様、気にせず出ていただいて構いませんよ」


タクシーの運転手さんがそう言ってくれるけれど、


「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」


そう答えて鞄にしまった。
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