年上幼馴染の一途な執着愛
「風呂入れてくる」

「ありがとう」


なんだかんだパンも食べ終わり、テレビを見ていると日向がお風呂場へ向かう。
私はその間に食器でも洗おうかとキッチンに立った。
使ったお皿を洗って拭いてから棚に片付けていると、日向が戻ってきて私を後ろからギュッと抱きしめた。


「日向?」

「……夕姫、一緒に入ろ」

「え?」

「風呂。……だめ?」


日向は、私がその"だめ?"に弱いことを知っているのだろうか。
そう言われてしまったら、ダメだなんて言えなくなってしまうこと。


「恥ずかしいじゃん……」

「もう全部見てるから大丈夫」

「そっ……そういう問題じゃないの。恥ずかしいものは恥ずかしいんだよ……」

「じゃあ、嫌?」

「嫌っていうか……」


ダメとは言えずにもごもごとしてしまう私の気持ちを察しているのか、日向は嬉しそうに


「だめ? お願い」


とその後も何度も頼んできて。


「……あんまり見ないでよ? あと、入浴剤入れてくれる?」

「わかった。じゃあ一緒に入ろ」


恥ずかしさのあまり素直に頷くことはできないけれど、粘り勝ちした日向に諦めたのだった。
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