年上幼馴染の一途な執着愛
*****


涙が落ち着いた頃。


「……ありがとう。落ち着いた。もう大丈夫」


恥ずかしさにしばらく顔を上げられなかったけど、ずっとこのままでいるわけにもいかず意を決して抱きついていた身体を離した。


「本当か? 無理してない?」


心配そうに覗き込む日向に、今度こそ笑いかける。


「……うん。だって、いつまでもうじうじ泣いてられない。あんな奴のことなんか早く忘れて、私も前に進まないと」


日向の前で泣くなんて、いつぶりだろう。
鼻がぐずぐずいってるし、目も赤くなってるかもしれない。

お父さんとお母さんに心配かけるわけにもいかないし、もうちょっと散歩続けたほうがいいかな……なんて考えていると、日向は私の手を取りどこかへ向かって歩き出す。


「ちょっと、日向、どこ行くの?」

「……俺ん家」

「え?」

「目真っ赤に腫れてる。そんな顔で家帰ったら家族に心配かけるだろ。少し俺ん家で休んでけ」


私と同じことを考えていたらしい日向に、拍子抜けした。


「……ありがとう」


散歩を続けるには少し寒かったから、ありがたくお邪魔することにした。


「ただいまー」

「お邪魔します……」

「どーせ誰もいないから入って。埃っぽいかもしれないけど。今暖房入れるから」

「ありがとう」


久しぶりに入った日向の実家。
日向の言う通り家の中は暗くて暖房も付いておらずに肌寒い。

お正月だというのに誰もいないのは、昔からのこと。母子家庭で育った日向。日向のお母さんは家に帰らないことが多く、子どもの頃からひとりぼっちで家にいることがほとんどだった。

そんな境遇を知ったお兄ちゃんが家に呼ぶようになり、さらにはクリスマスや年末年始も一人と知り、自然とイベントごとも一緒に過ごすようになった。

両親は息子がもう一人増えたようだと喜んでいたし、日向も誰かと一緒に過ごすのがたのしかったようだった。
それがきっかけで毎年日向は我が家で年越しするようになったのだ。

今でも毎年我が家に来ているのは、お父さんとお母さんが無理矢理呼んでるんだと思う。
日向も二人には頭が上がらないってよく言ってるから、多分そうなんだと思ってる。
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