年上幼馴染の一途な執着愛
「秋野さんが今フリーなら、俺も頑張るから。だから、ちゃんと意識してよ」

「ちょ、浅井さん? やめてください……」

「いいじゃん。フリーなら口説いたって問題ないでしょ?」

「そういう問題じゃなくて……」


なんで、どうして。嫌だよ。
逃げたいのに。逃げなきゃいけないのに。絶対嫌なのに。


「浅井さん、待って、やめてくださいっ……」

「黙って」


ゆっくりと、確実に顔が近づいてきて。
日向……!
せめてもの抵抗で、目をぎゅっと瞑って手を浅井さんの顔の前に出した時。


「……さすがにその反応は傷付くなあ」

「……え……?」


困ったような言葉と共に手を取られたかと思うと、頬にひんやりとした柔らかい感触。


「……秋野さん、困らせてごめんね。でも、冗談とかじゃないから。少しは考えてくれると嬉しいよ」


ヒラヒラと手を振りながら去っていく浅井さん。
思わず頬を手で押さえて、立ちすくむ。


「なに……今、何が起こったの……?」


しばらく、そこから動くことができなかった。
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