年上幼馴染の一途な執着愛
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あれは、確か小学校に入学して一ヶ月後のことだった。
保育園がお母さんの職場の近くだったから、同じ小学校に進んだ子はおらずひとりぼっちでのスタートとなった私。
しかも入学早々季節外れのインフルエンザに罹ってしまったことで、私が登校し始めた頃にはすでに友達の輪がいくつか出来上がってしまっていた。
なかなかクラスに馴染めないまま一ヶ月が経ってしまい、いつも一人で帰っていた。
その日も、一人で学校から帰ってきてパパッと宿題を終えたところだった。


「ユウ、俺これから出かけてくるんだけど……一緒に行く?」

「え、どこいくの?」

「友達に公園行こうって誘われた。だけど母さんに出かけるならユウも連れてくように言われてるから」

「でもおにーちゃんのお友だち、いやがらない? ……このまえの人に、ちょっとこわいかおされた」

「あー……まぁ、今日の奴はユウが会ったことない奴だし、俺が説得するから大丈夫だよ。トイレ行ってくるから準備して待ってて」

「うん、わかった」


私より一時間ほど遅く学校から帰ってきたお兄ちゃんは、いつも友達といろいろな公園に出掛けて遊んでいた。
共働き家庭だったためお兄ちゃんがいなかったら家に一人になってしまう。
私は友達もいなかったから別にそれでも良かったけれど、お母さんがすごく心配していて定期的に私も連れて行くようにお兄ちゃんに言っていたらしい。

その日も、お兄ちゃんは友達と遊びに行く時に私を誘ってくれた。
多分私がいれば友達と目一杯遊べなくなるし友達から後で文句も言われるため本意ではなかったと思うけど、お兄ちゃんはいつも私を気にかけてくれたから置いて行くという選択肢はなかったのだろう。
私は私でお兄ちゃんの友達に嫌な顔をされるのは怖かったけど、直接何かを言われるわけではないからついていくことの方が多い。
むしろ私が一人で留守番することでお兄ちゃんがお母さんに怒られることを考えると、嫌とは言えずに行くことになるのだ。

頷いた私は立ち上がり、帽子をかぶる。
準備と言われても、家の鍵はお兄ちゃんが持っていたから帽子以外私は何も持って行くものはなくて。
思い出したようにお茶だけ一口飲んで、靴を履いて先に外に出る。
すると、目の前で一人の男の子が自転車に跨っていた。
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