可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
「どうしてそんなことを聞くのかな? ルシア」
ファクト子爵は優しく問う。
ルシアは、小さく息を吸ってから決心したように告げた。
「お父様。ごめんなさい。私、できることならファクトの名を名乗るのをやめたいの。新天地ではファクト子爵令嬢じゃなく、ただのルシアとして生きていきたい」
ファクト子爵は傷ついた顔で息を呑む。
「! ファクト子爵家を嫌いになったわけじゃないわ。でも、私、ジューレ侯爵家と関係があった過去を無かったことにしたいの」
それを聞き、カイルはファクト子爵を見た。
ファクト子爵は肩をすくめ笑った。
「ああ、わかったよ。盗掘をしているジューレ侯爵家との関係が知られたら、この国で無用な非難を受けるかもしれない。今までルシアはいっぱい苦労したんだ。これからは好きに生きなさい」
ファクト子爵はそう言うと、ルシアの頭を撫でた。