可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
このおかげで、昔は忘れっぽくだらしなかったレモラも、さまざまな予定をつつがなくこなせるようになっていたのだ。
レモラはこの腕時計を独占した。誰にも、この時計の優秀さは教えなかった。
ほかの人に同じものをもたれるのは我慢ならなかったし、この時計のおかげで評価が上がっていることを知られるわけにはいかなかったからだ。
しかし、ルシアがいなくなってから上手く機能しなくなってしまった。
ルシアから取り扱い説明書を貰ってはいた。しかし、それがどこにしまわれているのかがわからない。
以前は、ルシアがレモラの部屋の書類まですべて管理していたから、一言「探せ」と言えば一瞬で出てきた。それが、今ではメイドに探させると小一時間もかかってしまう。
そもそも、秘密の腕時計なのだ。メイドに取説を見られるわけにはいかなかった。
「なんで起こさないんだ!! 使えないメイドだな!!」
レモラはメイドに当たり散らしながら、ボサボサの頭で王宮へ出かけていく。
メイドはしらけた顔でレモラを見た。