先輩!
11.生きた心地がしなかった
「今日入れてあと5回かあ。勤務中に堂々と芽衣ちゃんと仕事サボれるの」

穂乃果さんが、ミーティングルームで寂しそうにタブレットのアプリを開いて、202×年11月25日と日付を入力した。

来年3月で、3年間のメンター制度の適用期間が終了するのだ。


「サボりじゃないですよ。メンターの穂乃果さんがきちんと上司に報告してくれてたから、総務の3人の時すごく助かりました」

「その場に立ち会えなかったのが残念すぎる!久保氏の対応ヤバかったんだよね。現場見てた同僚が悶絶してた」

「なんだかもう懐かしいです」

あれからもう9ヶ月。あっという間に時が流れた。


「仕事は変わりないですか?困ったことはありますか?」

穂乃果さんがいつも通りの質問を読み上げる。

はい。と返事をするだけだとつまらないので、できるだけ具体的に答えるようにしている。
< 190 / 349 >

この作品をシェア

pagetop