先輩!

2.おもしろくない

社の花形部署と言われている営業部は、男性ばかり10数名の部署だ。

部長、課長がそれぞれ1名。係長の野口さんと、係長になったばかりの俺。

この4名で、ほぼ毎朝役席ミーティングが開かれる。ミーティングと言っても、がちがちの会議ではなく、目標達成に向けての日々の進捗状況の確認がメインで、雑談混じりの砕けたミーティングだ。


営業部に配置になり早3ヶ月。


業務内容は嫌いじゃない。

部屋に閉じこもって社のオリジナル製品を開発し商品化を進める前部署よりも、外に出るばかりの現部署の方が性に合う。

(時に理不尽に怒りをぶつけられブチ切れかけるが。ワガママな客に急な呼び出しを食らいストレスも多いが)


「3日後の7月1日から新入社員1名が配属されるぞ」


部長の一言に、俺以外が笑顔になる。仕事のこと、ましてや社会人の常識を何も知らないまっさらな人間が来ること、なんで笑顔になるのか分からない。

ゼロから指導なんか、ダルいだけだろ。


「どんな(やつ)ですか?」


野口さんの質問に、部長が「それがな」と前置きをした。
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