花咲くように 微笑んで
二人でキッチンに立ち、惣菜を皿に盛りつけスープを温める。

サラダや果物も用意し終わった頃、ただいまーと玄関から声がした。

「あ、帰って来た。お帰りなさい!」

有希がぱたぱたと春樹を出迎えに行く。

「お、菜乃花。久しぶり!」
「お邪魔してます」

リビングに入って来た春樹に挨拶した菜乃花は、春樹のすぐ後ろに誰かがいるのに気づいて驚いた。

「宮瀬さん!」
「こんばんは。久しぶり」
「お久しぶりです」

菜乃花がお辞儀をすると、有希が呆れたようにため息をつく。

「二人ともお久しぶりなの?菜乃花ちゃん、毎週颯真先生の病院に行ってるのに」
「あ、ボランティアに行ってるのは小児科病棟なので…」
「でも同じ病院でしょう?颯真先生、顔出さないの?」
「え、まあ、その。部外者なので」

すると有希は、解せないとばかりに両腕を組む。

「颯真先生、もし三浦先生に遠慮してるならそれは余計なお世話よ」
「は?」

有希の言葉に颯真は目を丸くする。

「それは、どういう?」
「もう、それも分からないの?あのね、イケメンだからって余裕ぶってたらダメなんだからね!しかもドクターなのよ?もっと女心を理解しなさい!」
「は、はあ」

勢いに押されて颯真はたじろぐ。

「まあまあ、有希。いいじゃないの。忙しい颯真を無事に召喚出来たんだ。今夜はみんなで楽しもうぜ」

春樹の言葉に、有希も態度を軟化させる。

「それもそうね。さ、支度出来てるから早速夕食にしましょ!」

有希と菜乃花がテーブルに食器を並べる間、春樹は颯真に赤ちゃんを抱かせていた。

「うわ、可愛いなあ。瑞樹くんか、いい名前だ。目元が春樹にそっくりだな」
「だろ?将来イケメン間違いなしだぜ。俺みたいにモテまくるぞー」
「ははは!性格はあんまり似ない方がいいな」
「おい、どういう意味だよ?」

二人のやり取りを、菜乃花は後ろから微笑ましく眺める。

颯真が手土産のワインとフルーツの盛り合わせを春樹に渡した。

「急いでたから、取り敢えずでごめん」
「いや、気持ちだけでありがたいよ。颯真、今夜は飲めるのか?」
「うーん。車で来たしなあ…」

そう言いつつ、いつものように病院からの呼び出しを気にしているのが分かる。

「春樹、私も授乳中で飲めないからさ。ワインは春樹と菜乃花ちゃんで楽しんで」
「そうだな。菜乃花、つき合ってくれ」
「はい」

そして4人で乾杯した。
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