人の顔がすべて『∵』に見えるので、この子の父親は誰かがわかりません。英雄騎士様が「この子は俺の子だ」と訴えてくるのですが!
第十章:怪しい『∵』を見つけました
1.
夕食を終えて部屋に戻ると、カイルはコクリコクリと眠りそうになっている。
「カイル。お風呂は?」
「いや」
眠いからそれどころではないようだ。
先にカイルを寝かしつけてから、一人でお風呂に入ろう。
ルーファはまだ部屋には戻ってきていない。カイルをとられていじけていたようだが、それでも国王たちと一緒にどこかへ消えた。明日の仕事に差し支えがない程度にしてもらいたいところでもある。
カーティスにカイルを預ける際には、もしかしたら国王と会わせることになるかもしれないと言われていた。カイルの父親がカーティスであることを考えれば、仕方ないのだろう。カイルから必要な家族を奪いたいわけではないのだ。だから彼の提案を拒みはしなかった。
それでも少しだけ気持ちは複雑だった。
すっかりとあの場に馴染んだカイルの姿を見て、ルシアだけ置いてけぼりをくらったような、そんな気分にさせられた。
《ルシア、元気だった?》
こうやってクレメンティが現れれば、カイルが深い眠りに落ちた証拠でもある。
「元気よ。まぁ、いろいろと大変ではあったけれど……。私、お風呂に入ってくるから、カイルのことお願いね」
《えぇ~。私も一緒に入る。もっとお話しようよ~》
「いやよ。クレメンティ、あなたお風呂に入っても水の無駄遣いで終わるでしょ? お風呂くらい、ゆっくり一人で入らせてよ。それが終わったらつきあってあげるから」
《そんなぁ》
そう言いながらも、カイルの上をふわふわと浮いているのだから、ルシアの言いつけを守る気でいるようだ。文句を口にするわりには素直。それがクレメンティ。
「カイル。お風呂は?」
「いや」
眠いからそれどころではないようだ。
先にカイルを寝かしつけてから、一人でお風呂に入ろう。
ルーファはまだ部屋には戻ってきていない。カイルをとられていじけていたようだが、それでも国王たちと一緒にどこかへ消えた。明日の仕事に差し支えがない程度にしてもらいたいところでもある。
カーティスにカイルを預ける際には、もしかしたら国王と会わせることになるかもしれないと言われていた。カイルの父親がカーティスであることを考えれば、仕方ないのだろう。カイルから必要な家族を奪いたいわけではないのだ。だから彼の提案を拒みはしなかった。
それでも少しだけ気持ちは複雑だった。
すっかりとあの場に馴染んだカイルの姿を見て、ルシアだけ置いてけぼりをくらったような、そんな気分にさせられた。
《ルシア、元気だった?》
こうやってクレメンティが現れれば、カイルが深い眠りに落ちた証拠でもある。
「元気よ。まぁ、いろいろと大変ではあったけれど……。私、お風呂に入ってくるから、カイルのことお願いね」
《えぇ~。私も一緒に入る。もっとお話しようよ~》
「いやよ。クレメンティ、あなたお風呂に入っても水の無駄遣いで終わるでしょ? お風呂くらい、ゆっくり一人で入らせてよ。それが終わったらつきあってあげるから」
《そんなぁ》
そう言いながらも、カイルの上をふわふわと浮いているのだから、ルシアの言いつけを守る気でいるようだ。文句を口にするわりには素直。それがクレメンティ。