一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
 個人情報と言われれば成哉はそれ以上踏み込む事が出来なかった。

「そうですよね、すみません……」

 しかし彼の落胆する様子を見ていた保健室の先生は、低く小さな声で切り出した。

「私と一緒にお見舞い行く?」
「いいんですか?」
「ほんとはダメだけど……私と一緒で1回だけなら。約束できる?」
「……はい。ありがとうございます」

 この日の放課後。保健室の先生は成哉を連れて倉敷愛海のいる病院へと向かった。そこはベリが丘の街にある総合病院。後年成哉と愛海の勤務地となる場所である。
 総合受付内にある案内所に面会の受付を行い、彼女のいる病棟へと歩いて向かう。彼女がいるのは7階の病棟だ。エレベーターに乗りナースステーションで彼女のいる病室を訪ねても大丈夫かと問うと、今は患者さんの体調が安定していないので……と看護師から断られてしまった。

「そうですか。すみません……」
「同級生ですよね?」
「いえ、後輩です」
「まなちゃんの後輩かあ。じゃあ、お2人が来た事は必ずお伝えします。まなちゃんもきっと喜んでくれると思うので」

 そうにこやかに語る看護師へ、成哉と保健室の先生はありがとうございます。と深々と頭を下げたのだった。

「また来ても大丈夫ですか?」
「……正直に言うと、今体調良くないから来ても会えないかもしれない。それでも良ければ」
「良いんです。来たって事だ伝わるだけでも……」
「わかりました。では必ず最初にここに立ち寄ってください」
「ありがとうございます……!」

< 117 / 135 >

この作品をシェア

pagetop