一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
「頚椎脊椎に詳しいトレーナーでさ、首の怪我をしたアスリートに付いたりしてる人なんだ。彼女のおかげで復帰できたお相撲さんやラガーマンもいる」

 成哉が紹介したトレーナーの名前は宇田さん。女性の方で2人の息子さんがいる。彼女の兄は力士で入門からすごい勢いで番付を上げて関取になり、今は大関にまで登りつめているのだとか。父親も力士で最高位は関脇で今は親方として後進の育成に励んでいる。
 そんな宇田さんがトレーナーの道を志したのは、父親が首の怪我と病で現役引退に追い込まれたのがきっかけだったそうだ。今は元気に過ごしているが、当時は大変だったとも聞いた。

「じゃあ、愛海さん早速やっていきまっしょい!」
「はい、お願いします!」

 宇田さんはいつも元気で陽気で明るい。私とは真逆のタイプだ。日焼けした肌に金髪に近い茶髪と鮮やかで手入れの行き届いたネイルはまさにギャルという感じだ。

「はい、曲げていくよーー。息吸ってーー」
「こう、ですか?」
「そうそう! もっと胸張って!」
「ぐぅーーっ」
(この姿勢すごいくるな……)

 マットレスの上でのトレーニングが終わる。その後もリハビリルームのあちこちに移動してリハビリとトレーニングに励むのだった。

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