一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
 手術は4時間で無事終了した。その後も1件手術を行った成哉はナースステーションや医局で仕事をこなし、テロップには夜の20時と記されていた時には私服姿で帰ろうとしていた成哉が映し出されていた。

「今からどちらへ行かれるんですか?」
「コンビニでご飯買い込みます。おなか減ったので」
「藤堂先生は自炊なんですか?」
「いえ。結婚して子供がいます。ただ手術した後っておなかが結構減るんでそれで妻が用意してくれた食べ物以外にもコンビニで買った総菜とか食べたりしてます」
「そうなんですね……」

 リポーターのセリフの後、やはり手術は体力勝負のようだ。と語るナレーションが入りつつコンビニでお惣菜を物色する成哉が映る。
 成哉が購入したのはナゲットと納豆パック。そう言えば納豆を切らしてしまい成哉がコンビニで買ってくれた日があったのを思い出した私。ああ、取材はその日だったのか。

「そういえば、藤堂先生の奥さんてどんな方なんですか?」

 そのリポーターの質問がテロップと共に表示された瞬間、私の心臓がどきどきといきなり跳ねるような動きを見せる。はたして成哉はなんて答えてくれるのだろうか。

「かわいいですよ。それに子育てをしながら自分の夢に向かってコツコツ努力していて、すごいと思います」
「奥さん、何か夢があるんですか?」
「喫茶店を開きたいっていう夢があるんです。勿論僕も応援していますし家族も同じです。それに僕の夢である先輩方のような外科医になると言う夢も応援してくれているのでお互い頑張ろうって思えると言うか。妻と言う一言だけでは収まり切れないと思っています」

 そんな彼の言葉を聞いて、私の胸の中が徐々に温かくなっていく。

< 130 / 135 >

この作品をシェア

pagetop