一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
 それを聞いたリポーターや、番組の出演者は皆頷いたりしてその言葉を大事そうに受け取っているように見えた。

(なんか、うれしい……)

 コンビニで食材を購入し、コンビニの外に出てきた成哉。カメラマンは彼の持っているエコバッグに視線を向ける。

「たくさん買いましたねえ」
「へへ、いつもより少な目な方ですよ」
「結構食べるんですね?!」
「良く言われます」

 エコバッグを片手にコンビニの出口でそうにこやかに語る成哉。

「藤堂先生。今日はありがとうございました」
「いえいえ」
「これからも頑張ってください」

 こうして、成哉の密着取材は幕を閉じたのだった。そこに映る成哉は優秀な外科医藤堂医師であり、私の夫で大事な相手……夫と言う器には収まり切れない程の相手である藤堂成哉がどちらも映っていた。
 ああ、もっと早くこの番組を見ていれば良かった。

「こんな事知らなかったよ……」

 それから夜22時の消灯時間が過ぎた後、私は成哉にスマホで電話をかけると2コール程で出てくれた。

「もしもし、成哉さんの密着取材の番組見たよ」
「えっ、見てくれたんだ」
「うん、再放送してたから見た。成哉さんからは全然聞いてなかったからさびっくりしたよ」
「そっか。どうだった?」
「勿論良かったよ。すごかった。それとありがとう」
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