一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜

第2話 過去と妊娠発覚と同居の誘い

 成哉とは、小学校と中学校が同じだった。私の初恋の人で、片思い相手だった人だ。

「藤堂くん、かっこいい!」
「藤堂くん、いいよねーー」

 小学校1年生の頃から彼の周囲は絶えず人がいた。彼の父親は医者をしており、彼もまた幼い頃から医者になるのが夢だった。
 
「ぼくは、お父さんのようなお医者さんになりたいです」

 大きな声で将来の夢について書いた作文を読み上げる彼はきらきらと輝いていた。

「私、藤堂くん好きかも」
「えーー、ちょっと抜け駆けは駄目だって!」

 小学校高学年になると、皆更に恋愛に興味深々になる。特に女子の間では、おまじないが流行った。

「このおまじないやってみよっか」
「でもそれ、藤堂くんの髪の毛いるんだよ?」
「藤堂くんの髪の毛なんて、恥ずかしくてもらえないよ」

 そんな感じで、おまじないに頼ってまで成哉と恋人になりたいという女子は後を立たなかったし、実際小学校6年生くらいから彼女がいるという噂はあった。

「藤堂くん、彼女いるらしいよ」

 でも、今振り返ると彼女はいるという噂は聞いても、誰がそうとか詳しい話は聞いた事が無かったような。

(本当に、彼女いたのかな……いや、あんだけモテてたんだし1人くらいはいたはず)

 
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