一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
 中学時代になると彼は女子男子問わず更にモテモテだった。私が明確に彼へ好意を抱いたのは中学1年生の時。初めての中間テストを前にした事だった。

(どこから手を付けたらいいんだ?!)

 初めてのテスト勉強。どこから手を付けていいか分からなかったし、どう効率よく勉強して良いかも分からなかった。

(誰かにアドバイス貰うしか……)

 特に英語と数学はちんぷんかんぷんで、授業でも何言ってるかよく理解出来なかったのだった。

(どどどどうしよ)

 そんな時、目に入って来たのが勉強を押しえてくれと男子女子両方からせがまれる成哉の姿だった。

(あんだけせがまれてるんだから、頼れるはず)
「藤堂くん、私もテスト勉強教えて!」

 勢い任せに彼へとそう願い出ると、気さくに良いよ。と応じてくれたのだ。

「えっ、いいの?」
「勿論! 初めてのテスト勉強なんだし、皆で頑張ろうよ」
「あ、ありがとう……!」

 こうして、私は期間中ずっと彼にくっついて、勉強を教えてもらった。

「えっと、ここの例文これで合ってる?」
「どれどれ、うん、合ってる」

 彼だけでなく私と同じように、成哉に勉強を教えてもらいたい取り巻きの子達からもアドバイスを貰いながら、なんとか初めての中間テストを乗り切ったのだった。


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