一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
(私がみじめになりそうだ)

 しばらくして成哉がビニール袋を下げて戻って来た。

「ありがとう」
「いえいえ。また何か欲しいものあったら買いに行くから言って」
「うん……」
「水飲む?」

 成哉から水を手渡され、飲む。喉の乾きが癒えた。

「夕食だけど、うどんなら食べられそう?」
「多分……」
「ごはん系は無しにしといたから。よくつわりの症状でごはんの匂いが駄目って言う話あるみたいだし」

 そこまで気を使ってくれていたとは……。

「ごめんね……色々気遣ってくれて」
「謝らなくていいよ。これくらいさせてほしい」
「失礼します」

 若い女性の看護師が、かけうどんと小鉢の乗ったトレイを持って入室してきた。看護師の髪型は明るい茶髪のベリーショートヘア。

「うっ」

 看護師の清潔感があまり感じられない派手なメイクの匂いが鼻につき、気持ち悪さを覚えてしまう。

「堀田、大丈夫か?!」
「た、大丈夫」

 看護師も心配そうに、私の背中を右手でさすってはくれるがいかんせんメイクの匂いが無理とは言えない。

「ごめん、外出て貰っていいかな? あと、ベテランの看護師呼んできて」
「はい、藤堂先生」

 彼女が慌てて部屋から退出すると、多少気持ち悪さが消えて胸の周りが楽になった。
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