一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
「堀田さん、もう泣いちゃいなさい! こういう時は泣いてすっきりしなさい!」
「確かに店長の言う通りかも。堀田、泣いちゃっていいさと考えよう」
「そう言われたら……よげいに……ひっぐ」

 みっともなく泣き腫らした私を、2人はずっと見守ってくれたのだった。
 仕事を終え、夕方。診療時間を終えた病院内は閑散としている。荷物を持って帰ろうとしている所に私服姿の成哉が手を振りながらこちらへとやって来た。

「しごおつーー」
「お疲れ、藤堂くん」
「単刀直入に言うけどあの家で暮らさない? ここから近い方がいいし」

 あの家と言うのは高級住宅街の別荘の事だろう。私はうーーんと考えた結果。彼に同意する事となった。

「でも、引っ越しの準備とかどうしよ」
「それも俺が手伝うよ」
「ありがとう」
「今日はたちまち、堀田の家で泊って良い?」

 いきなりのお誘いに私は目を丸くさせる。でも自宅は彼には狭いだろう。

「狭いよ?」
「いいって」
「ほんとに?」
「俺こう見えて狭い方が落ちつくタイプだから」

 そう言えば小学校の図画工作の授業で、成哉は1人で段ボールを器用に使って秘密基地を作っていたのを思い出す。

「あ、秘密基地作ってたもんね」
「え、覚えてたんだ」
「あんな器用に段ボールで作ってたんだからそりゃあ覚えてるって」
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