一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜

第4話 新たな生活

 そして今日。私は成哉と共にあのベリが丘が誇る高級住宅街にある別荘に訪れている。
 本来はドレスコードが求められそうだが、私はそのような服は持っていないのでスーツを着ている。別荘のリビングの机に座り、成哉の両親が来るのを待っている。

「失礼します。ああ、堀田さん。久しぶり」

 開口一番、成哉の両親はそう私に挨拶した。成哉の父親はスーツ、母親はブランド物であろう上着に黒いパンツを着用している。ベリーショートヘアな成哉の母親はふくよかな身体つきでメイクは濃いめに見える。

「お、覚えていてくれたんですか」
「ええ。PTAで堀田さんのお母さんとご一緒してたからね」
「そ、そうなんですね」

 母親は確か小学校で数年間PTAの役員をしていたような記憶はあるが、成る程そこで接点があったのか。

「成哉とは長い付き合いにはなるわね」

 母親はそう屈託の無い笑みを浮かべながら言った。まあ確かに小学校と中学校合わせて9年同じ学校に通ったのだ。カレとの接点はそこまで無かったが、長い付き合いにはなるかもしれない。
 
「じゃあ、結論から言うと俺は愛海と結婚するつもりだ。我儘言ってごめん。あと知っていると思うけど愛海は妊娠している。俺はこの愛海との子を大事に育てていきたいんだ。どうか許して欲しい」

 成哉は椅子から立ち上がり、両親に向けてゆっくりと深々と礼をした。私も椅子から立ち上がってよろしくお願いします。と頭を下げる。
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