一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
 その間もひっきりなしに患者が訪れる。大人もいれば子供の姿も見えた。子供は皆幼稚園の制服か、他所行きのブランドものの服を着て来院していた。そう言えばベリが丘のサウスエリアに幼稚園があったような記憶がある。

(小さい頃からあんなブランドもの着るのかあ)

 まことのベビーウェアなどもブランドものではある。自分にとってはほぼ未知の領域に近いので、まだまだ慣れない。
 今私が着ている服はネットで購入した安物だ。ブランドもので固めるよりこういう服の方が落ち着くからだ。

「藤堂さん、こちらにどうぞ」
「はい」

 薬局窓口から薬剤師が私とまことを呼んだので、そちらに向かい薬を受け取ったのだった。

「じゃあ、帰ろっか」

 そうまことに話しかけると、まことの目線は私の勤務先であるカフェに向いていた。
 
「カフェ気になるの?」

 どうもカフェが気になるようだ。だが、カフェには列が出来ており店員も忙しなく働く姿がちらりと見えたので挨拶に行くのも気が引ける。
 
「また今度でにしよっか。今は忙しそうだし」

 私がまことにそう話しかけると、まことの目線はカフェから違う場所へと切り替わっだった。

(今は仕方ない、また今度寄ろう。てかそろそろ職場復帰も近づいてるしなあ……)

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