彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
食事を終え、片付けをする。俊佑さんも手伝ってくれた。休んでほしいとお願いしたが、くっついていたいからと言われてしまった。

「俊佑さん、明日は仕事ですか?」

「そうだよ。明日から勤務だ」

「美音も仕事だよな?」

「はい、また一週間頑張ります」

「俺も頑張らなきゃな」

「お休みの日は決まっているんですか?」

「基本、土日が休みだけど、患者さん次第だな」

「そうですよね……」

「どうした?」

「私、土日におじゃましていいですか?私もお休みなので、もう少し手の込んだ料理を食べてもらいたいです」

「もちろん大歓迎だ。料理はさておき、土日と言わず、毎日居て欲しいとはおもっているけどな。焦らず待つよ」

「ありがとうございます。では、私は帰ります」

「名残惜しいが送っていくよ」

「大丈夫です。一人で帰れます。俊佑さんは休んでください」

そうは言ったが、彼が許してくれるはずもなく、結局マンション前まで送ってもらった。

「今日は素敵な時間をありがとうございました」

「俺の方こそありがとう。さぁ、中に入れ。ここで見とくから」

「はい」

正直、もう少し一緒にいたかった。でも、優しい彼は私のことを第一に考えて、自分のことはおざなりにしてしまうだろう。

私は、後ろ髪を引かれる思いでマンションの自動扉を抜けた。

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