彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
何もする気が起きずソファーに全体重を預ける。
目を閉じると、あれこれと考えてしまった。
彼と身体を重ねた時、とても幸せだった。でも、それは私だけだったのかな? 俊佑さんは違ったのかな?
本当にお医者さんは性欲が強いのかな?だとしたら、私ではダメなの?私と一緒にストレスが溜まるの?
病院にいるはずの彼が、どうしてホテルにいたの?
どうして廣藤愛莉と一緒に?車でどこに行ったの?
私、どうすればいいの?

私は貴方に相応しいですか?教えて俊佑さん。

スマホを手に取り、彼の番号に発信する。

『おかけになった電話は、電波の届かないところにあるか、電源が入っていないためかかりません』

機械的な音声が虚しく流れるだけだった。

それを何度も繰り返す。

「私、何やってるんだろう」

彼を信じているはずなのに、胸が苦しい。
愛されているってわかっているはずなのに、凄く寂しい。
今すぐ彼に触れたい。抱きしめてもらいたい。

「俊佑さん……」

私は暗く静かな部屋で、スマホの充電が切れてしまったことにも気づかず、いつのまにか眠ってしまっていた。
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