─animaTane─ドレミ

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ドイツのとある農村で小さな乳飲み子が教会の門前で産声を上げていた。


朝早くに教会に訪れた18歳の少女、キャサリンはこの教会のシスターだった。キャサリンは産声を上げる乳飲み子の存在に気づくと抱き上げた。


キャサリンはシスターであり、その身を神に捧げるものとしている。だから男性との交わりは禁止であり、もちろん産まれてこのかた男性経験はない。シスターとして生きる道を選び、子供とは一生縁遠いと思っていた。


抱き上げた乳飲み子は絹に包まれ、そこには手紙が挟まっていた。


キャサリンは手紙を開き、読み終えると産声を上げるミカエルを我が子として迎え入れることを誓い、シスターの業務を中断して実家へ向かった。


キャサリンの父と母は乳飲み子を抱えるキャサリンを見て慌てた。


「キャサリン、まさかお前の子供かい?」


母は慌ててはいても事情を聞こうと思っていた。母はどちらにしろ乳飲み子を受け入れるつもりでいたし、父はなぜか微笑み、「抱かせとくれ」と言い出す。


ミカエルを父に抱かせて、キャサリンは説明した。


「教会の門の前で拾ったの。

私、この子を育てる!」


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