君の笑顔を、僕だけに。
4月に入ったとはいえ、まだ少し肌寒い。
カラッと乾いた風が制服を揺らす。

残念ながら、桜は入学式までに満開には
ならなかった。

私、花野雪は感情表現が苦手でよく表情が硬い、
一緒にいてもつまらないとよく言われる。
しかも喋りかけてもらえても上手く喋れない。
当然、友達なんていない。

「間に合うかな、入学式から遅刻なんてヤバいに
決まってる…」と何も入っていない軽いリュックを揺らしながら学校まで走った。

私は「同じ中学校の人と同じ高校になりたくない」
とかいういかにもぼっち陰キャラっぽい理由で
通っていた中学校のある雪の下町から少し離れた
葉の元町という町にある葉の元高校を受験し、合格した。

(絶対同じ中学校の人はいないはず…)
と配られたクラスの書かれた紙を見た。

(私はB組か…ん? うわ…)
高校生活早々、大絶望だ。
B組の欄には『相田夏希』という見覚えのある名前があった。中学校で同じクラスになったことは無いけれど、学校中の女子からモテてて私でも知っているくらい有名人だ。

同じ中学校の人がいる事だけでも嫌だったのによりによってあのキラキラモテモテ陽キャ(?)とか…

最悪だ。
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