君の笑顔を、僕だけに。
「私が可愛い……?なんで…」

「ブッ……」

「え?」
なんで笑ったんだろう。

「あはは、花野さんって面白いね!顔が整ってて綺麗で可愛いから「可愛い」って言ったのに、その理由を聞いてくるとかほんとおもしろ…フフッ…」

夏希はしばらく笑っていた。

おまけに夏希がずいぶん大きな声で笑うもんだから、クラスメイト全員が私と夏希のことを見ていた。

恥ずかしさで顔がカーっと赤くなった。
多分ゆでダコのように赤くなっているんだろう。
夏希はさらに笑った。

そんな空気に耐えられず、逃げるように私は教室から出た。

「えっ?ちょっ、花野さーん!また明日ねー!」

(はぁ?!空気読んでよー!)

こっちは死にそうになっているのにもかかわらず、夏希は 笑顔でブンブン手を振ってくる。

恥ずかしさどころか、ふつふつと夏希に怒りが沸いてきた。

(きっと、人気者の相田くんと目立たなくて陰キャの私がなんで喋ってるんだって悪口言われるよね…)

大恥をかいた私をからかうかのように、桜の木がカサカサと揺れる。

私の高校生活は最悪から始まった。
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