セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
 当日、両親と共に会場に行くと、盛大なパーティだった。
 立食形式で、有名店のシェフがその場で直接肉を取り分けるなど、趣向も凝らされている。


 私は両親に連れられて、杵築の両親のところに挨拶に行った。


「百佳さんは、裕也と一緒に生徒会で活動されているとか。」

「私はただの補佐ですが、お手伝いさせて頂いております。」

「裕也くんは一年生にして生徒会長に抜擢されたと聞いておりますぞ。
 流石に優秀ですなあ。ハッハッハ。」

 杵築息子は実際に優秀だから、褒めどころに困らない。父はここぞとばかりにヨイショした。


「一度、うちに遊びに来て下さらないかしら? 
 生徒会の皆様をお誘い頂いてもいいし。裕也は零士くん以外、学校のお友達を連れて来たことがないのよ。」 

 佐々木くんは、まだ、家に呼ばれたことがないようだ。ご両親は、佐々木くんのことを知らないのだろうな。


「それは良いお話だ。なあ、百佳。」

「ええ。裕也さんにご了解頂けるのであれば、是非お伺いしたいです。生徒会の皆も喜びます。」

 私の立場で、行きませんと言えるわけがない。 


 ホストである杵築の両親は、とても忙しそうで、「それでは、楽しみにしていますね。そのときまたゆっくりお話しましょう。」と話は打ち切られた。


 今のは、社交辞令というよりは、本当に来て欲しそうな雰囲気だった気がする。

 ニコリともできない私の能面顔は、こういう社交の場では、本当に困ってしまう。不快な印象を与えたのでなければ良いけれど。


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