セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
 ひととおりの挨拶周りを終え、両親が知り合いと話し込み始めると、私はボッチになった。

 美味しそうなものをお皿にとって、今のうちにたくさん食べてしまおう。今日の料理は珍しいものが多く、あれこれ目移りしてしまう。


 私がむしゃむしゃ食べていると、少し離れたテーブルで、杵築・羽村・佐々木くんの三人が話しているのが見えた。

 杵築がいるのは当然だけど、羽村と佐々木くんも来ていたとは、気付かなかった。


 佐々木くんが私に気付いたようで、手を小さく上げてきたので、私はやむなく三人のいるテーブルに歩いていった。

「黒瀬、来てたのか。」
「ご招待ありがとうございます。」

 私は杵築に、お決まりの挨拶を返した。


「先ほど、お母様にご挨拶をしたところ、生徒会の皆を誘って遊びに来てほしいと……。」

「あの母は、余計なことを。」

 杵築は嫌そうな顔で、舌打ちをした。


「いいんじゃないですか。私もしばらくご無沙汰していましたし。」

 羽村はわりと乗り気だ。

「俺も、一緒に行きたいな……。」

 佐々木くんが、控えめに言った。行ってみたいのに、これまで機会がなかったに違いない。


「皆でお邪魔するのなら、楽しいかもしれないですね。」

 私は、佐々木くんに助け舟を出した。

「む……。」

 杵築は少し考えて。
 後日、改めて日程調整を行うということに、落ちついた。


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