セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
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そうこうしているうちに、幼稚園での生活が始まった。
3歳児を見慣れている先生に不審がられないよう、私は極力、目立たないことを意識した。
何をするにも、一拍置いて、周りの雰囲気に合わせながら振る舞うことが肝心だ。
……と、気を張ってはいたけれど、先生のことは、心配していたほどでもなかった。
忙しい先生は、何も迷惑をかけない私のような子どもを注視している暇などないのだ。
むしろ、問題なのは、同級生との関係の方だった。
――友達ができない。
私の無表情が怖いのか、はたまた幼児らの鋭敏な感覚で違和感を覚えるのか。
入園後半年が経っても、私は何だか遠巻きにされて、親しい友達が全然できない。
2人一組になって何かを行うときも、なかなかペアが見つからない。先生が、あぶれ組をくっつけてくれるまで待つしかなかった。
そうしてペアになった相手すら、私が手を差し出すと、『ひっ』と、怖気づいたようにちょっと後退るのだ。かなりのショックだった。