セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
16歳 〜お化け屋敷を楽しもう〜
文化祭当日。
「いいですか。今年は、無謀なことはしないように、お願いしますね。」
1年も前のことを蒸し返している男は、羽村だ。
今年も、生徒会は、巡回業務を引き受けている。一年生が入って人数が増えたし、去年のこともあるので、従前の2名体制を改め、
①杵築、羽村、愛花ちゃんグループ
②三杉、佐々木くん、私のグループ
③一年生グループ
の3グループで行うこととなった。
風紀委員の担当時間もあるので、自分の当番は一日一回だけだ。
「うちのクラスはお化け屋敷やるんで、来て下さいね。」
私と杵築が、生徒会メンバーにチラシを渡すと、反応は上々。
お化け屋敷は、文化祭では一番人気と相場が決まっている。
しかも、さすがは王明学園。
クラスの予算もたくさんあるし、内装製作の係の子らが自前で色々工夫しているおかげで、かなり本格的な感じに仕上がっていると聞く。
「お客さんとしても、行ってみたいから、巡回の後に一緒に行きましょう?」
愛花ちゃんは、杵築、羽村と自然に約束を交わしていた。
その流れで、三杉と佐々木くんと私も、巡回が終わった後で、一緒に行くことになった。