セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~

16歳 〜年末年始は家族と過ごそう〜


 いよいよ年末。

 私からのクリスマスプレゼントに喜んだ父が、「欲しいものを言いなさい! 何でも買ってやるぞ」と言うので、お言葉に甘えてリクエストをすることにした。


 私が前々から欲しかったもの――、それは『コタツ』である。

 父は「コタツなんかがほしいのか?」と不思議そうだったけれど、特に反対されることもなかった。その日のうちに、家具屋さんまで、連れて行ってくれたのだ。


 そんなわけで今、我が家の豪奢なリビングの一角には、違和感のあるコタツが鎮座している。

 いきなり現れたコタツを見た母は、「なんだかみっともないわねえ」と眉を顰めた。

 けれども、コタツを撤去するようにとは言われず、逆に、分厚い置き畳を手配してくれたので。
 快適すぎて、私はすっかり、コタツから抜け出せなくなってしまった。

 なんだかんだ言って、私に甘い両親だ。
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