セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
16歳 〜マラソン大会に出よう〜
1月中旬。
私が1年で最も嫌いなイベントの日が、やってきた。
それは――。
マラソン大会だ。
王明学園では、毎年、冬のこの時期に、マラソン大会が行われる。河川敷の一周4キロの距離を、男子は3周、女子は2周するという大会なのだ。
――マラソン大会なんてやらなくてもいいのに~。
私は、それほど運動が得意ではない上に、長距離を走ると脇腹が痛くなってしまう。
走る直前には食事をしないようにとか、呼吸に気をつけるとか、人から受けたアドバイスは全て試した。
それでもどうしても、走り出すと激しい痛みに襲われるので、毎年、地獄の思いをしながら走ってきたのだ。
こういう時こそ、どこかのモンスターペアレントが、「うちの御曹司にマラソンをさせるなんて!」と苦情を入れて中止になればいいのに。
残念ながら、そんな話もきかないままに、当日を迎えてしまった。
しかも、今年は、生理2日目の日にあたってしまったので、ただでさえ体調が悪い。
それが関係あるのか、ないのか。案の定、走り出して1キロもしないうちに、脇腹が痛み始めてしまった。