セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
 後日、突然、三杉から「お前、見合いしたの?」と聞かれたので、ちょっと驚いた。

 どうやら、あのエグゼクティブラウンジの軽食は、三杉の家が買収した高級飲食店が出しているらしく、そこから情報が漏れたようだ。


「あー、お見合いは、したんだけど。第一声で『君と結婚する気ない』って、言われたの。」

 私は、少しばかり残念そうな、茶化すような雰囲気で、事実を答えた。


「ふーん……。」

 三杉は、興味無さげに相槌を打った後、私の頭をポンッと叩いた。


「まあ、いいんじゃね?そいつ、勿体ないことしたわ。――お前も、見合いなんて、当分やめとけば。」

「……うん。そうする。」


 私は、頷いた。
 あのばあさんが話を持ってきても、今度は、断固たる態度で拒否するぞ。

 お見合いなんて、しばらく、こりごりだ。
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