セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~

5歳 〜入学準備をしよう〜


 5歳。附属幼稚園最後の一年は、イベントが目白押しで、けっこう忙しい。

 来年の初等科進学に向けて、最近は少しずつ勉強も始めている。

 前世では一応、大学まで行っているので、初等科の勉強自体に不安はないけれど。心配なのは、視力が落ちることだ。


 ゲームの黒瀬百佳は、とにかく、目つきが悪かった。人に与える印象という点では致命的だ。

 目つきの悪さには、視力も関係していると思う。コンタクトや眼鏡を使えば良いけれど、私の顔立ちには眼鏡が似合わない。
 

 眼鏡といえば。
 ゲーム中における、杵築の友人であり、杵築とヒロインを取り合う生徒会副会長――羽村零士(はむられいじ)の眼鏡は、とてもオシャレだった。

 もとの顔が良ければ、眼鏡も似合う。それは認める。でも、私はそれに当てはまらない。


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