セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
第一章 未就学編
0歳 〜まずは使用人と仲良く〜
とはいっても、私はまだ0歳。
できることなど、ほとんどないし。大人の記憶をもちながら赤ん坊の生活を送ること自体が、既に拷問だった。
――ああ~、飽きた。
ミルクに飽きた。
飽きた飽きたあきた~っ!
通常の育児であれば、とっくに離乳食が始まっていても良い時期なのに。私は1歳を目前にして、まだミルクだけしか与えてもらえない。
母に期待はしてないけれど、世話役の春名さんは、一体何を考えてるんだ。
黒瀬の両親は、一人娘である私に、まるで興味がない。父はほとんど家にいないし、母は家にいるけれども私の相手はしない。
世話をしてくれるのは、もっぱら、春名さんを中心とする使用人の皆さんだけど――、その彼女らに対する、母の態度といったら。
見ているこちらがドキドキするほどの、上から目線!
ゲームの中の百佳は、母同様に、使用人にキツく当たっていた。
そのため、屋敷の誰もが百佳を嫌っていたし、最終的には、彼らによって様々な悪事を告発され、破滅に追い込まれてしまう。
使用人との関係改善は、没落回避のための重要課題なのだ。