セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
「あの。心当たりがないんだけど、いつ……。」
「2月くらいかな。」


 2月、2月……。

「……あ!」


 もしかして、青石兄にチョコを渡したカフェが、うちのホテルのカフェだったっけ。あのとき、愛花ちゃんに見られたのかな?

 私が釈明しようとした、そのとき。



「――心当たりが、あるのですね。」



 氷のような声が響いた。
 
 ――羽村だ。



「や、あの……。」
「どういうことか。聞かせて、もらいましょうか。」


 近づいてきた羽村に気圧されて。

 ダン、と椅子ごと、後ろに退いた。 


――ちょ。羽村。
 もしかして、むちゃくちゃ怒ってる?


「えと、あの……。」

 誰か助けて下さい。
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