セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
※※※※


 まずは、杵築が、横領で捕まった設定で、杵築は成人していると仮定する。
 弁護人である私は、勾留の必要性がなく、在宅捜査で十分だと主張して、釈放を求める理由を考えなければならない。


「早く釈放させろ。金なら幾らでも出す。」
 態度の悪い被疑者である。


「え~と。マニュアルによると。」
 このパターンの準抗告で裁判官が注目するポイントは……。

 ①罪証隠滅の可能性がないこと
 ②逃亡の可能性がないこと
 の2点。


①罪証隠滅について

「証拠書類は、既に全て検察庁が押収しているから、これ以上の罪証隠滅の可能性はないと言え。
 そもそも、犯行は認めている前提だしな。」

「ふむふむ、たしかにそうですね。
 証拠というのは、書類だけでなく、人も含まれるそうですが……。」

「関係者には、うまく言い含めろ。そうすれば、証人はいない。」

「それが罪証隠滅ですよ!」

< 309 / 615 >

この作品をシェア

pagetop