セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
「まて。他にも、着眼点が書いてある。」

 杵築がマニュアルを見た。


「配偶者や子どもがいると、逃亡の可能性が低いとみなされやすい。」
「――配偶者や子どもは、いませんね。」

「定職についていると、逃亡の可能性が低いとみなされやすい。」
「まだ、定職にはついていませんね。」


 杵築は、はぁ、とため息をついた。


「――ダメな奴だな。弁護しようがない。」 
 
 って、お前も同じだろ~!
 すごくムカつくんですけど。



※※※※


 愛花ちゃんのペアになった弁護人は、愛花ちゃんのことが好きらしく。

「実は僕が犯人なんです!」

 という離れ業の弁護をして、皆を驚かせていた。

 私もあんな弁護人が良かった。
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