セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
※※※※


 大会が始まった。

 私は、一緒のグループになった幼児2人と自己紹介をした後、何を作るかを考えていた。
 会場にある材料を自由に使って、『遊びを作る』というのが課題なのだ。

 2人は、私かなり緊張した様子で、顔がこわばっている。
 乳児院で、子ども達に遠巻きにされた過去が思い起こされる……。


「二人の好きな遊びを教えてくれる?」

 私はなるべく優しく聞こえるように話しかけた。


「うんちすごろく!」
「ゆいは、ぬりえがいい。」

 ふむふむ。
 うんちすごろくと、塗り絵を、まとめれば良いんだな。  


――まとまるかな?


 2人と話し合いながら、他のグループをチラッと見ると、もう、みんな動き始めている。


「……。」

「……。」

 うちの幼児2人は、「うちのグループはどうするの」という目で私を見上げ、プレッシャーをかけてくる。


 どうしよう、どうしよう。
 何も思いつかない。

 塗り絵と、うんちすごろく。
 塗り絵と、うんちすごろくを生かすには……。


――そうだ!


 私は、子ども達と一緒に、材料を取りに行った。

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