セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
 授業中、私は少しでも暇を潰すべく、できる限り丁寧に字を書くようにしている。
 きれいなノートであれば、今後、誰かが「ノートを貸して」と頼んできて、それをきっかけに友達になれるかもしれないし。

 とはいえ、それだけでは、やはり、暇すぎる。脳内だけでできる、暇潰しはないものか……。


――そうだ!


 ここはひとつ。
 小説のプロットを考えてみるのが、いいかもしれない。時間だけはあるから、授業中に練に練ったプロットを、帰ってから一気に書き起こす。

 ジャンルは、そうだな。
 やはり、王道、推理小説。小学校を舞台にした、リアリティ溢れる殺人事件……。


――やっぱり、やめておこう。


『容疑者は、まだ小学生のときに、学校を舞台にした殺人事件の小説を執筆していたのです』

 将来何かあったときに、冤罪を着せられる未来しか見えません。


 そうすると。やっぱり、ここは無難に、先生の言うこと全てをメモする方向で、暇つぶしをするしかない。 

 女の子らしく、可愛い絵なんかを添えてみるのも、良いかもしれない。


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